千里の道も散歩から 2

が近づくにつれて「冬季うつ」状態から抜け出しつつある。
それはよいが坐骨神経痛がなかなか改善しない。というか、むしろこの冬の間にさらにひどくなったような気さえする。この痛み、去年の春頃から自覚し始めたから、そろそろ一年が経過するのだが、明らかに一年前よりも悪い状態である。このまま慢性化してしまうのではないかと危惧している。

最初はシーズン中の肉体労働のせいかとも思っていたのだが、よくよく考えてみると労働時間よりも座っている時間の方がはるかに長いことに気がついた。コロナ禍ということもあって、昨年一年間と今年にかけて椅子に座っている時間がめちゃめちゃ増えているのは間違いない。坐骨神経痛の原因として、腰椎椎間板ヘルニアとか梨状筋症候群とか、あるいは脊柱管狭窄症などが考えれるのだが、原因がはっきりしないケースも多々あるということである。僕の場合はまだ普通に歩けるのだからそれほど重症ではないのだろう。今ならまだ自己治癒可能圏にあると信じて、いろいろと対策を講じてみようと思っているわけだ。

「腰痛」とは人類が直立歩行をするようになって以来、宿命的に背負うリスクであると言われている。しかし現代人にかくも腰痛が多いのは、むしろ椅子に「座る」という状態が長時間に及んでいるためではないかと思われる。仕事で座り、車を運転するにも座り、家に帰ってきては座っている。座り心地を追求したソファーの存在は特に悪魔の誘惑である。何時間でも座っていられる。そのうちに居眠りしてしまって、心地よく一日中ソファーと一体化して過ごしていることも珍しくはない。(まったくもって自分に当てはまりまくりである。)

僕の坐骨神経痛はそういう生活習慣を「正せ!」という身体からのメッセージであるのかもしれない。そこで3月から「歩く会」 を再開した。ポドメーターのアプリをダウンロードし、一日の目標を5555歩に定めた。(Go Go Go Go の意味にも通じるこのエンジェルナンパーが僕は好きである。)この目標を達成するためにはトータルで1時間歩けばよい。距離にしたらおよそ4㎞ (2.5 Miles) である。

始めてから3週目に入ったが、妻が付き合ってくれているおかげで、目下のところ毎日目標を達成している。そして、ありがたいことにウォーキングに適した場所が身近にたくさんある。家の裏手を降りていくとすぐに Old Croton Aqueduct Trail にアクセスできる。ハドソン川に隣接して造られた近くの公園は景色も良くて歩きやすい。Governor Mario M. Cuomo Bridge のトレイルは昨年開通して、今やハドソン川を歩いて横断できるようになっている。このように意識をすればウォーキング環境にはまったく事欠かないのである。

これまで僕が利用した5つのウォーキングコースを総括してみた。

  1. Tarrytown Lakes Park

Tarrytown Village に飲料水を供給する目的で1890年に造られた貯水池が現在はレイクパークになっている。東西の二つの湖からなり、湖畔に沿ってトレイルが造られている。車をパークして東側のトレイルだけでも往復すれば目標の 2.5 Miles は達成できる。湖畔の景色が美しく、特に、秋の紅葉を楽しむにはよい場所。トレイルは舗装されていて坂道もないのでお年寄りの散歩道にも最適である。

  1. Scenic Hudson RiverWalk Park at Tarrytown

Mario Cuomo Bridge を間近に見られるハドソン川沿いの美しい公園。ボート・マリーナも隣接していて景観はとってもいい。ウォーキングが目的ならば、公園からハドソン川に沿って続いている RiverWalk を歩くことになる。Sleepy Hollow の灯台まで歩いて戻ってくると目標は達成できる。残念なのは公園のパーキングはメーターが設置されていて(以前はなかったはずだが)お金取る気満々だったこと。僕たちはテリータウン駅を挟んで反対側のショピングモールに車を駐めて、駅の階段を渡って公園に行くことにした。駅の中を歩くのもコースの一部と考えるとなかなか楽しいものだ。

  1. Scenic Hudson Park at Irvington

こちらもハドソン川沿いに造られた公園。Mario Cuomo Bridge の全景と反対側にはマンハッタンのビル群が小さく見える。この公園の好きなところは車のパーキングがしやすいことと、公園内のトレイルの「長さ」である。公園の外周トレイルを一周すると、ちょうどほぼ1000歩で、所要時間10分なのである。つまり、公園を6周歩けば目標を達成できることになる。もっとも実際6周回ったことはなく、一日の目標に足らない分だけこの公園を歩いて、ゴールまで持っていくという目的で利用した。スキマ時間に歩くには最適な公園である。

  1. Old Croton Aqueduct Trail

28年前にアメリカに来た時からの馴染みのトレイルではあるのだけれど、地元の人々に「アクアダクト」と呼ばれているこのトレイルの正体を、僕は恥ずかしながらよく知らなかった。この記事を書くに際し、調べてみて初めてよくわかった。ニューヨークシティーに水を送るために1965年までは使われていたのだなあ。現在はクロトンダムからブロンクスにまで至る26マイルがトレイルとして整備され、ステートパークになっているのだ。

そのトレイルには家からすぐに降りられる。去年、そのトレイルからバイパスが造られて、ハドソン川沿いを歩けるようになった。北に伸びるこの遊歩道は僕のウォーキングには最適なコースとなった。その端まで行って戻ってくると確実に目標を達成できる。途中には日本の「日光」を思わせる渓流もあって景色は抜群である。ただしアップダウンが結構あるのでシニアの方にはきついかもしれない。

一方、トレイルを南に進むとアービントンのダウンタウンに続いている。こちらのコースを選んだ場合、メインストリートを突っ切ってトレイルをさらに進み、メモリアルパークまで行って戻ってくると目標達成である。気分によって北に行くか南に行くかを決めるのであるが、風が強い日は南に行く方が無難かもしれない。ハドソン川から吹いてくる風は結構きついので。

  1. Mario Cuomo Bridge

Tappan Zee Bridge に代わる新しい橋 Governor Mario M. Cuomo Bridge が初めて一般にオープンされたのは 2017年の夏のこと。新しい橋には遊歩道 (pedestrian path) が付け加えられると聞いていたが、まだ、この時には影も形もなかった。
それから3年後の 2020年の夏、心待ちにしていた遊歩道がついにオープンした。全長 3.6 マイルの間に6ヶ所の展望スペースが設けられている。端から端まで歩いて、片道80分。行って帰って来るには、7.2 マイル (11.6キロ) をおよそ3時間かけて歩かなければならない計算だ。

それを実行するにはちょっとした決意が必要であるが、ウォーキングの目標をクリアするだけなら橋の半分まで行って戻ってくるのがちょうどいい。6ヶ所のステーションが設置されているのは、その点、都合がいいのだ。ウエストチェスター側から3番目のステーションまで行って戻れば目標達成である。ロックランド側からも3番目まで行って戻れば目標をクリアできる。僕はこの機会にどちらのパターンでも歩いてみた。やっぱり川を横断するのは爽快感が違う。ただし、ハイウェイが並行して走っているので車の騒音は覚悟しないといけない。

はもうすぐ。「歩く会」のおかげで、冬の間になまった身体のウォーミングアップは十分できたと思う。


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