千里の道も散歩から

西岡力(つとむ)ちゃんの「救う会」、青山さんの「護る会」、に続いて僕も「歩く会」を一人で立ち上げた。オフシーズンになってめっきり歩くことがなくなったからだ。

毎年のことだがシーズン中の運動量と比べるとあまりにも極端である。まあ、基本的に自分は「引きこもり」ということもあるんだけれど「これではいけない」と心も体も言っている。「体が言っている」というのはどういうことかというと、最近どうも顎関節が痛むのだ。時差ボケであくびばかりしているというのもあるが、原因は歩かなくなったためだと思う。体の骨格に歪みが生じたためだ。どこのどの箇所というわけではなく「全体的」にである。体は全てが繋がっているのだから。

昨日はヨガの時間に腰回し左右120回を実行してみた。「ちょっとはいいな」と思ったけれど、骨格の歪みを調整する最善の方法は「歩くこと」である。「歩くこと」で病気の95%は治ってしまうという話もあるが、結局、体の歪みが改善されることがその大きな要因ではないかと思われる。バランスの改善である。骨格の左右対称性だけではない。ホルモン、自律神経、右脳左脳、血流、呼吸、それからプラーナ(エナジー)の流れ、全てがバランスの上に機能している。

それに、これほど「歩ける環境」に恵まれているのにそれを利用しないのは、まるで宝物を捨ててるようなものだと最近切に感じ始めた。日本に居たら、なかなかこんな環境など望めない。(だからもし帰ったら田舎暮らしをするがね。)今ある「宝」を最大限に利用したいと思ったのだ。

画はこうだ。トレイルに降りたらドブスフェリーまで一気に歩く。アービントンから南の風景は僕にとっては馴染みがないから楽しみだ。そこから引き返してひたすら歩き、リンドホストのプロパティの北端まで行ったらまた引き返して K-House に帰ってくるという計画だ。さて、これだけ歩くと果たして何マイルだろう。グーグルマップで調べてみると、およそ⒌9マイル(⒐5キロメートル)である。マイルでは⒌9、キロメートルでは⒐5というのも何か不思議な導きを感じた。天が「やってみなはれ」と言っているような気がする。しかし、これは結構な距離だな。いや、このくらいは歩かなければ。しかし、続かなければ意味はない。と、心の中でいささかの葛藤がある。ところで、5.9マイルを歩くとなるとどのくらいの時間がかかるものか。人が歩く速度は大体時速4.5kmだそうだ。9.5キロを歩くとするとおよそ2時間7分ということになる。急げば2時間で歩けそうだ。

毎日2時間は続かないかもしれない。そこでハーフコースを考えてみた。3マイルを目安にすれば大体1時間で歩ける。もしも最初のコースをドブスフェリーではなくダウズレーンまでにした場合は全長は2.5マイル(4キロ)となる。これなら1時間弱で歩ける。どうやらこれなら適当だ。ちなみにダウズレーンをメインストリートに変更した場合だと1.7マイル(2.8キロ)。これにリンドホストのまでの一往復をプラスすると2.7マイル(4.3キロ)になる。ハーフコースを上からプランA、プランB、プランCと名付ける。どのプランが適当か今日から実際に歩いてみることにする。

い立ったら吉日というから早速実行に移した。時刻は午前10時10分。「歩く会」の記念すべき第一回である。「とりあえずメモリアルパークまでは行ってみよう」と思った。思ったよりも簡単に着いたので「このままドブスフェリーまで行っちゃえ行っちゃえ」と心が命じるよりも先に足はもうすでにダウズレーンを越えていた。ここから先は未知の領域である。生まれて初めて足を踏み入れるという事実になんだかワクワクしてきた。

「風景はなかなかいいぞ。」

しばらく歩くとマーシーカレッジが見えてきた。トレイルはマーシーカレッジのキャンパスも突っ切っているのか。知らなかった。カレッジを過ぎると崖の下に川が流れていてなかなか眺めのいい景色が続いている。この川は North Brook というらしい。この水はハドソン川に注いでいるようだ。まるで鮭を狩りにクマでも現れてきそうな風景である。「おっと、先に階段が見える。もしや!」と思って登るとドブスフェリーのダウンタウンに行き着いた!ついにドブスフェリーまでの道のりを踏破した!なんだか大西洋を横断してアメリカ大陸に行き着いたような気分である。大げさだけど。

ドブスフェリーのダウンタウンに至る階段

しかし、まだ復路が残っている。

リンドホストを抜けてブロードウェイまで歩く予定だから帰りの方が1マイル長い。時刻は午前10時55分。ドブスフェリーまで45分で歩いたのだ。これは結構いいペースである。

ここに至って左足が相当痛くなっていた。履き慣れないスニーカーのせいだろうか。鞍馬の山道でもこんなふうに痛くはならなかった。痛みのせいでペースが落ちる。「歩くことは書くことに似ているな」とふと思う。本を一冊書くことはこんなふうにしんどいことなのかもしれんなと思う。いつしかこの5.9マイルを歩ききることが本を一冊執筆することと重なって見えた。一歩一歩を踏みしめて歩かなければ前に進まないように書くことも一字一句手抜きができない。そんなことを考えながらトボトボと歩いているといつの間にか見慣れた風景になってきた。もうアービントンである。

僕はムドラーを試してみることを思い出した。足にエナジーを送るならアパナ・ムドラーだ。足の痛みは変わらないが歩くペースが上がってきた。ムドラーの効果が現れた。そしてついに K-House の前を通過。あとはリンドホストへの往復だけである。

「百里を行く者は九十里を半ばとす。」

九割終えてもまだ半ばだと考えて気を抜いてはいけないという意味だ。最後に困難が待っているかもしれないから。リンドホストのプロパティを横断してブロードウェイまで到達する。

悔いが残らないように杭を回って折り返した。

そしてついに、最初に決めた計画通りをやり遂げて K-House に無事生還。いや〜、大変だった。しかし、少しは大変でなければやり遂げた達成感はないのだから、これでいいのだ。時計を見ると12時11分。意外にも理想どおり2時間で帰ってきた。

かくて第一回「歩く会」を終了した。今日は最初ハーフコースのどれかを行く予定だったが、心の声に従っていきなりのフルコースとなった。今日は苦労したが、今後はこの距離を普通に(余裕で)歩けるようにしたいものだ。

自分への挑戦は生きる喜びなり。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。