二刀流で行こう

生活のために稼ぐ仕事、つまり、ご飯を食べるためにしなければならない仕事を「ライスワーク」、自分の趣味や好きなことを追い求める活動を「ライフワーク」という。これは「『キャリア未来地図』の描き方」という本に出てくる言葉で「この対句、ナイス!」と思った。僕は普段から、いわゆる「ライスワーク」からだんだんフェードアウトして、次第に「ライフワーク」一本の生活に転換してゆきたいと願っていた。「ライフワーク」が「ライスワーク」であることが理想の生き方だと思っていたからだ。たぶんこの本にもそのような類のことが書かれているものと思っていたのだが、どうやらそうではないらしい。この著者の主張は「仕事」を2軸で考えることである。つまり、「ライスワーク」か「ライフワーク」かのどちらか一つを選ぶのではなく、「ライスワーク」と「ライフワーク」を車の両輪ごとく考え、両者からの相乗効果(シナジー効果)を生み出そうとするものであった。

ただし、シナジー効果を得られるようになるには、どちらの領域も「創造者」のレベルにまで達しないといけないという。確かに、ただ言われるままの受け身な態度では仕事にはなんの創造性も喜びも湧いては来るまい。給料をもらうためだけに嫌々ながら働いてもただ疲れるだけである。そして、その憂さを晴らすために休日を「趣味」や「好きなこと」に費やしたとしても、その時間はただの「消費」レベルで終わる可能性が大きい。自分の趣味が「投資」や「創造」というレベルにまで上がることはないのである。ところが本業において真摯に取り組み、小さなことからでも「達成感」を積み上げてゆけば、そこから「喜び」が生まれ、「創意」「工夫」が湧いて来るものだ。そうなるとそれはもう「創造者」の入り口に足を踏み入れたと言って良いだろう。

そうなった場合、余暇に取り組む「趣味」は、もはやただの憂さ晴らしの「消費」レベルでは留まらない。もともと好きなことであったはずだから、それを「投資」や「創造」のレベルに高めることはそれほど難しいことではないだろう。しかし、その原動力となっているのが、実は、本業で培った「達成感」や「成功体験」であったことに気付くのである。「努力が報われる喜び」を体験した人は強いということだ。そして「趣味」の領域でも「創造者」のレベルにまで達すれば、これが本業にも良い効果をもたらす結果になるのである。このように正のスパイラルが回転し始めると面白いように相乗効果を生むことになるのである。「ライスワーク」と「ライフワーク」が車の両輪のようになってシナジー効果を生み出し続けてゆく。これこそ理想的なライフスタイルではあるまいか。

幼き頃より「二足の草鞋」は私の理想であった。
「二刀流」の宮本武蔵というイカしたイメージでもある。中学生の頃だったか、担任の先生が生徒に将来就きたい職業を紙に書かせたことがあった。僕はその時、歯科医と漫画家を掛け持ちすると書いた。ほとんどとどかぬ夢のような目標ではあったが、この時から一つの職業で一生過ごすのはつまらないと思っていたのだ。阪大医学部出身の漫画家手塚治虫の影響を受けたことは間違いない。精神科医で作詞家の北山修にも理想像を見た。「文武両道」は最高の理想だと思う。大学に入ると専門とは違う翻訳家養成講座の通信教育も申し込んだりもした。思えば「二足の草鞋」人生を実現したいとあれこれと手を出したが、自分の場合「虻蜂取らず」で終わったケースばかりだった。ひとえに自分の不徳の致すところである。しかし、今現在も懲りずに「二足の草鞋」人生を模索している自分がいることは否めない。ふたつの「わらじ」を「創造者」レベルにまで極めてみたらどうなるか。シナジー効果が発現されて面白いことがどんどん起こるようになるかもしれない。いや、そうなるに違いない。もし、そんな体験ができたなら、きっと、死ぬまでやめられなくなることだろう。

創造者になるには、やはり、アントレプレナーにならなきゃね。誰かに雇われているのではなく。独立自尊のその高みを目指してくじけず歩き続けよう。その努力もそれ自体がきっと楽しいと思えるだろう。

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